スマートフォン・Wi-Fiの電波は?日本の基準(局所SAR 2W/kg)とWHOの見解を整理

コラム

スマートフォンやWi-Fiルーターは、毎日使う身近な機器です。そこから出る電波について、「基準はあるのか」「国際機関はどう見ているのか」を整理しました。公的機関の資料をもとに、電波の基準(電波防護指針)、距離による変化、国際機関の見解をまとめています。

窓辺の机に置かれたスマートフォンとWi-Fiルーター

スマートフォン・Wi-Fiの電波とは

携帯電話やスマートフォンでは、700MHz~数十GHz帯の電磁波(電波)が使われています。Wi-Fi(無線LAN)も、電波を使った通信です。電波は、通信のほか、放送や産業機器など、広く使われています。(出典:電磁界情報センター「携帯電話・スマートフォン」)

電磁波の種類の中での位置づけは、「電磁波とは?種類・身のまわりの発生源・国の基準をやさしく整理」 で紹介しています。

日本の基準:電波防護指針

日本では、総務省が「電波防護指針」を定めており、電波法令にもとづいて、電波の安全性が確保されています。対象は、10kHzから300GHzまでの電波です。指針は、電波の生体への作用(刺激作用と熱作用)を考慮した「基礎指針」と、基礎指針を満たすために、実際に測れる量(電界強度など)を定めた「管理指針」で構成されています。

対象指標基準値
携帯電話・スマートフォン局所SAR2W/kg
基地局・無線LAN(Wi-Fi)全身平均SAR0.08W/kg(一般環境)

SAR(比吸収率)は、電波を体が吸収する量を表す指標で、単位はW/kgです。電波防護指針は、人体に熱的な影響を与えない強さに、電波を制限するものとされています。基地局の場合は、約4W/kg以上で熱作用による影響が出るとして、10倍の安全率を考慮している、と説明されています。

(出典:電磁界情報センター「携帯電話・スマートフォン」、電波産業会「電波防護指針とは」)

距離による変化

電磁界情報センターは、基地局について、200m程度離れたところで電波が最も強くなり、その強さは基準値の1/1,000程度、と説明しています。電波は、発生源から離れるほど弱くなる性質があります。

国際機関の見解

  • 国際がん研究機関(IARC)は、2011年5月に、無線周波(30kHz~300GHz)電磁界を、「ヒトに対して発がん性があるかも知れない(グループ2B)」と評価しました。この評価は、発がん性の強さではなく、証拠の確からしさを示すものです。IARCは、携帯電話基地局からの環境ばく露については、証拠を「不適当」、携帯電話の使用による個人ばく露については、神経膠腫と聴神経腫について「限定的」な証拠、と説明しています。
  • WHO(世界保健機関)は、「携帯電話から発射される電波を原因とするいかなる健康影響も確立していない」という見解を示しています。
  • 電磁界情報センターは、疫学研究について、脳腫瘍と携帯電話の使用との関連が調べられてきたものの、因果関係を示す証拠は見つかっていない、と説明しています。

(出典:電波産業会「国際がん研究機関(IARC)の発がん性評価」、電磁界情報センター「携帯電話・スマートフォン」)

この記事では、電波の健康への影響について、「安全」「危険」のどちらとも言い切りません。国の基準と、国際機関の見解を確認したうえで、ご自身で判断していただくための情報として、お読みください。

気になるときの考え方

  • 距離をとる:電波は、発生源から離れるほど弱くなります。使わないときは、体から少し離して置く、という考え方があります。
  • 機器の表示を確認する:携帯電話のSARの値などは、メーカーの公開資料で確認できる場合があります。
  • 使い方を見直す:長く使うときは、机に置く、通話はスピーカーやイヤホンを使う、といった方法もあります。

これらは、「必ずそうしなければならない」というものではなく、気になる方のための選択肢です。体調に不安のある方は、医師にご相談ください。

よくある質問

Q. スマートフォンの電波に、基準はありますか?
A. あります。総務省の電波防護指針で、携帯電話・スマートフォンは、局所SAR 2W/kgと定められています。

Q. Wi-Fiルーターの電波は、基準の対象ですか?
A. 基地局・無線LAN(Wi-Fi)は、全身平均SAR 0.08W/kg(一般環境)が基準の対象です。

Q. 離れると、電波は弱くなりますか?
A. 電波は、発生源から離れるほど弱くなる性質があります。

Q. 電波の健康への影響は、わかっていますか?
A. 国際機関の見解は、上の「国際機関の見解」をご覧ください。この記事では、「安全」「危険」のどちらとも言い切りません。

家電から出る磁界の測定結果は 「電気カーペット・電気毛布・ドライヤーの電磁波は?」、電磁過敏症については 「電磁過敏症とは?」 で紹介しています。

まとめ

スマートフォンやWi-Fiの電波には、総務省の電波防護指針にもとづく基準があります(携帯電話は局所SAR 2W/kg、基地局・無線LANは全身平均SAR 0.08W/kg)。国際機関の見解は、IARCが2011年にグループ2Bと評価し、WHOは、いかなる健康影響も確立していないとしています。気になる場合は、距離をとる、使い方を見直す、といった選択肢があります。

※ 写真はイメージです。

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