「電磁波」という言葉は、天気予報やニュースから、家電やスマートフォンの話題まで、いろいろな場面で目にします。でも、電磁波とは何なのか、身のまわりのどこにあるのか、国の基準はどうなっているのかを、順番に説明できる方は多くありません。この記事では、電磁波とは何か、種類と発生源、国や国際機関の考え方を、公的機関の資料をもとに整理しました。

電磁波とは
電磁波とは、電気の力(電界)と磁気の力(磁界)が、波のように空間を伝わっていくものです。電界と磁界を合わせて「電磁界」と呼び、この波として伝わる性質に注目したときの呼び方が「電磁波」です。
電磁波は、波が1秒間に何回振動するか(周波数)によって、性質と呼び名が変わります。周波数の低いほうから、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線の順に並びます。私たちが目で見ている「光」も、電磁波の仲間です。
周波数:低い ←→ 高い(エネルギー:小さい ←→ 大きい)
電磁波の分類(周波数の順)。電波から可視光線・紫外線の一部までは「非電離放射線」、X線・ガンマ線は「電離放射線」に分けられます。
| 種類 | 身近な例 | ひとこと |
|---|---|---|
| 電波 | 携帯電話、Wi-Fi、Bluetooth、電子レンジ、ラジオ・テレビ放送 | 通信や放送、加熱に使われています |
| 赤外線 | こたつ、ヒーター、リモコン | 熱として感じられます |
| 可視光線 | 太陽光、照明 | 目に見える光です |
| 紫外線 | 日ざし | 日焼けの原因になる光です |
| X線・ガンマ線 | レントゲン検査 | 「電離放射線」に分けられます |
一般に「電磁波」が話題になるときは、家電や送電線などから出る周波数の低いもの(50Hzまたは60Hzの商用周波数)や、携帯電話・Wi-Fiなどの電波を指すことが多くなっています。
身のまわりの電磁波の発生源
電気が流れるところには、電界と磁界が生まれます。家庭では、次のようなものが発生源になります。
- 電気を使う家電:ドライヤー、電気カーペット、電気毛布、冷蔵庫、掃除機など。コンセントにつないで動くものは、電気が流れるときに磁界を出します。
- 電波を出す機器:スマートフォン、Wi-Fiルーター、電子レンジ、ワイヤレスイヤホンなど。
- 屋外の電力設備:送電線、変電所、電柱の配電線など。
電磁界情報センターの調査では、ドライヤーや掃除機のようにモーターが入っている製品は、商用周波数の磁界のほかに、数kHz~数100kHzの磁界も発生することが示されています。
国の基準は? 電磁波の規制とガイドライン
電磁波の基準には、大きく、国が法令で定めているものと、国際機関が公表しているガイドラインがあります。
| 区分 | 内容 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 電力設備の電界(日本) | 3kV/m以下(1976年制定。高圧送電線の下の地上1m) | 法令にもとづく規制 |
| 電力設備の磁界(日本) | 200µT以下(50Hz・60Hz。2011年制定) | 法令にもとづく規制 |
| 国際ガイドライン(ICNIRP、2010年改定) | 磁界:200µT(50Hz・60Hz)。電界:5.0kV/m(50Hz)、4.2kV/m(60Hz) | 法的拘束力のないガイドライン |
(出典:電磁界情報センター「電力設備からの電磁波(電磁界)の規制」、経済産業省「電磁界とは」)
この基準は、送電線などの電力設備を対象にしたものです。家電については、電磁界情報センターが測定を行っており、身のまわりの家電から出る磁界は、国際ガイドラインの制限値(200µT)に比べて低い値だったと報告されています。また、複数の家電を同時に使っても、磁界の発生源から離れるほど急激に弱くなるため、ガイドラインの制限値を超えることはない、とされています。(出典:電磁界情報センター「家電製品」)
国際機関は、健康への影響をどう見ている?
電磁波と健康については、さまざまな研究が続けられています。国際機関の評価を、事実だけ紹介します。
- 国際がん研究機関(IARC)は、2001年に、商用周波数の磁界を「発がん性があるかもしれない(グループ2B)」、商用周波数の電界を「発がん性について分類できない(グループ3)」と評価しました。IARCは、この分類について、「その因子が発がん性物質であることを意味するのではなく、公表されたデータが審査されたことを意味する」としています。
- WHO(世界保健機関)は、2011年に、携帯電話から出る電波について、「いかなる健康影響も確立していない」という見解を示しています。
(出典:電磁界情報センター「国際がん研究機関(IARC)」)
この記事では、電磁波の健康への影響について、「安全」「危険」のどちらとも言い切りません。国の基準や、国際機関の見解を確認したうえで、ご自身で判断していただくための情報として、お読みください。
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電磁波が気になるときの考え方
基準の範囲内であっても、電磁波が気になるという方はいらっしゃいます。そのようなときに、日常で工夫できる点を整理します。
- 距離をとる:磁界は、発生源から離れるほど急激に弱くなる性質があります。長い時間そばにいる場所(枕もとなど)に、電気を使う機器を置かない、という考え方があります。
- 使う時間を見直す:ドライヤーのように、短時間しか使わないものと、電気毛布のように、長く肌に触れて使うものでは、使い方が違います。
- 密着して使うものは、表示を確認する:電気カーペットや電気毛布、ドライヤーのように、体に近づけて使う製品では、メーカーが電磁波(磁界)の低減についてどのように表示しているかを、確認してみるのも一つの方法です。
「電磁波低減」「電磁波カット」などの表示を見るときは、次の点を確認すると、比べやすくなります。
- 何の電磁波(磁界・電界・電波)を対象にしているか
- どのような条件(測定距離・測定方法)で、何と比べたか
- その数値の根拠が、メーカーの資料などで公開されているか
電磁波の感じ方や気になり方には個人差があります。体調に不安のある方は、医師にご相談ください。
よくある質問
Q. 電磁波と電磁界は、同じものですか?
A. 電界と磁界を合わせて「電磁界」と呼びます。電磁界が波として空間を伝わる性質に注目したときに、「電磁波」と呼ぶことが一般的です。
Q. 私たちが見ている光も、電磁波ですか?
A. はい。可視光線は電磁波の一種です。周波数の低いほうから、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線の順に並びます。
Q. 家電から出る電磁波は、基準を超えますか?
A. 電磁界情報センターの測定では、身のまわりの家電から出る磁界は、国際ガイドラインの制限値(200µT)に比べて低い値でした。
Q. 電磁波は、離れると弱くなりますか?
A. 磁界は、発生源から離れるほど急激に弱くなる、と電磁界情報センターは説明しています。
Q. 電磁波の健康への影響は、わかっていますか?
A. 国際機関は、現時点で確立した影響を示していないという見解を示していますが、研究は続いています。詳しくは、上の「国際機関の見解」をご覧ください。
参考:電磁波の量を抑えた設計をうたう家電
電磁波の量を抑えた設計をうたう家電もあります。オンラインストアでは、ゼンケンの次の商品を扱っています。
※ 表示・説明は、いずれもメーカー(ゼンケン)によるものです。電磁波の人体に与える影響については、現時点では公的機関において医学的に証明されていません(メーカー注記)。測定条件などの詳細は、各商品ページ・メーカーの資料をご確認ください。
まとめ
電磁波は、電界と磁界が波として伝わるもので、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線に分けられます。身のまわりでは、家電や電波を出す機器、送電線などが発生源になります。日本では電力設備に対して、磁界200µT、電界3kV/mの規制があり、国際ガイドラインも公表されています。気になる場合は、距離をとる、使い方を見直す、製品の表示を確認する、といった工夫ができます。
電気カーペット・電気毛布・ヘアドライヤーの磁界の測定結果や、「電磁波低減」表示の見方は、電気カーペット・電気毛布・ドライヤーの電磁波は?測定結果と「電磁波低減」表示の見方で紹介しています。
※ 写真はイメージです。
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