天空の鶏舎で、60日間。神山鶏という鶏肉が、なぜ別格なのか
天空の鶏舎で、60日間。
神山鶏という鶏肉が、なぜ別格なのか
徳島県・吉野川市美郷。山道をくねくねと登っていくと、突然、視界が開けます。眼下に広がる山々、白い雲、遠くに光る川の流れ——そしてそのはるか上、「それより上には山の木々だけ」という場所に、ひとつの鶏舎があります。
ここを訪れた人は口をそろえて言います。「まさか、こんな場所で育てているとは思わなかった」と。
澄んだ風が吹き、豊かな湧き水が流れ、晴れた日には雲海を見おろすことができる。神山鶏が育つのは、そういう場所です。
鶏肉に、こんなに差があるとは思わなかった
鶏肉は身近な食材です。スーパーに行けば、安い胸肉やもも肉がいつでも手に入ります。「鶏肉はどれも同じ」と思っていた方も多いでしょう。しかし神山鶏を一度食べると、その考えは変わります。
特に顕著なのが香りです。調理を始めた瞬間から、ブロイラー特有の臭みがない。代わりに、穀物の香りがほんのりと広がります。食べてみると、むね肉でもしっとりとしていて、噛むほどに旨みが出てくる。スープにしたときの出汁の豊かさは、一般的な鶏肉とは比較にならないほどです。
この違いはどこから来るのか。それを知ると、神山鶏という鶏肉の意味が見えてきます。
一般的なブロイラーの「倍の時間」をかける理由
市販のブロイラーは、一般的に35〜40日で出荷されます。短い期間で大きく育てることで、効率よく安価な鶏肉を大量に生産できます。しかし神山鶏は、60〜80日かけてゆっくりと育てられます。その差は約2倍です。
なぜ時間をかけるのか。急いで育てると、肉の旨み成分であるアミノ酸が十分に蓄積されないからです。鶏肉の旨みは、時間をかけた分だけ深くなります。80日間、毎日少しずつ積み重なった旨みが、あの味わいの正体です。
さらに神山鶏が飼育されるのは、鶏たちが自由に動き回れる広さで、のんびりとできるだけストレスをかけないよう過ごせる平飼い鶏舎です。運動量が確保されることで筋肉が適度に発達し、食感の良い肉質が生まれます。飼育されるのはメスだけ。メスは一般にオスより穏やかな性質を持ち、均質で安定した肉質になりやすいとされています。
1973年から変わらない、「抗生物質不使用」という約束
神山鶏を育てる株式会社イシイフーズが創業したのは1973年。食の安全や品質に対して多くの方が高い関心を持つ現代と違い、そうした意識が今ほどには広く行きわたっていなかった30年以上前から、すでに飼育期間すべてにおいて抗生物質や抗菌剤を使用しない特別飼育鶏を育てていたのです。
畜産の現場で抗生物質が広く使われてきた背景には、過密飼育環境での感染症予防という事情があります。逆に言えば、鶏がストレスなく健康に育てられる環境を整えれば、抗生物質に頼る必要はなくなります。しかしそれは、言うほど簡単ではありません。
イシイフーズが開発したのが「イシイミックス」という独自の飼料です。枯草菌(納豆菌等)・乳酸菌・すだちパウダー・緑茶粉末・キトサンなどをブレンドした混合飼料で、腸内の善玉菌が増え、免疫力がアップ。全飼育期間にわたり、抗生物質・抗菌剤不使用を実現しています。
納豆菌、乳酸菌、徳島特産のすだち、緑茶——日本の発酵と食の知恵が、鶏の健康を守る飼料に凝縮されています。薬に頼らず、食の力で健康を保つ。人間の食卓と同じ考え方が、ここにあります。
「神山鶏」の住まいは、人里よりもはるか上。澄んだ風が吹き、豊かな水が湧き、時には雲海を見おろす鶏舎で、純真無垢に育ちました。
植物性飼料100%——「何を食べてきたか」が肉になる
神山鶏の飼料は、植物性たんぱく原料のみを使用しています。動物性たんぱく再生飼料を一切使用していません。もちろん、魚粉は含まれていません。使用するトウモロコシは遺伝子組み換えなし(NON-GMO)、収穫後農薬なし(PHF)のもの。大豆かすも遺伝子組み換えなしのものを使用しています。
肉の質は、その動物が何を食べてきたかの反映です。穀物の香りがする飼料を食べて育った神山鶏に、ブロイラー特有の臭みがないのは当然のことでもあります。食べるものが、そのままからだになる——人間も鶏も、この原則は変わりません。
鶏ふんが土に還り、野菜を育てる
神山鶏の物語は、食卓の先にも続きます。養鶏場で発生する鶏ふんにキノコ栽培後の菌床を混合することで、においの少ない良質な堆肥「大地のサプリ」を開発。この堆肥を農耕地に還元することで、より安全性の高い野菜作りに貢献しています。神山鶏の鶏ふんは抗生物質・抗菌剤を含まないため、循環型の環境保全農業にとって価値の高い堆肥です。
抗生物質を使わずに育てた鶏の排泄物が、安全な堆肥として土に還り、次の野菜を育てる。地球人倶楽部が創業以来大切にしてきた「命の循環」という哲学が、神山鶏の飼育にも静かに宿っています。食卓に届く神山鶏の一切れは、その大きな循環の一部なのです。
神山鶏を、どう食べるか
神山鶏のおいしさを最もシンプルに感じたいなら、塩焼きがおすすめです。良質な塩だけで、素材の旨みが引き出されます。むね肉は塩麹に一晩漬けてからグリルすると、しっとりとした仕上がりになります。
スープや水炊きにするときは、骨ガラを一緒に煮ることを忘れずに。一般的な鶏肉とは比べものにならないほど豊かな出汁が出ます。その出汁を味噌汁や雑炊のベースに使うと、食事全体の質が上がります。唐揚げにしても、揚げた後の香りと食べたときの旨みの濃さに気づくはずです。
神山鶏は、シンプルな調理ほど素材の良さが際立つ鶏肉です。余計な手を加えなくても、十分においしい。それが、良い素材の証明です。
神山鶏を地球人倶楽部オンラインストアで
もも肉・むね肉・ささみ・手羽・砂肝・骨ガラ・デリカ加工品など、豊富な部位と商品が揃っています。全国配送対応。
監修者:地球人倶楽部 編集部
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