有機栽培米と特別栽培米との違いや表示ルールなどお米選びのポイントを紹介

有機栽培米

お米を購入する際、ブランド銘柄、産地、そして、どんな栽培基準なのかを参考にしていますか?

食の安全性という観点から有機栽培米や無農薬米、特別栽培米を購入している方も多いとは思いますが、国が定めたガイドラインや実際どのように栽培されているのかについては知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回はお米を選ぶ際に知っておきたい、特別栽培米の栽培方法や、無農薬や減農薬との違い、表示の見方などを解説します。

有機栽培米とは

有機農産物は、遺伝子組み換え技術を利用していない品種を用いて、たい肥などで土作りをして、2年以上農薬や化学肥料を使用しなかったほ場で栽培されることが条件となっています。 有機栽培米は、農薬や化学肥料に頼らず、水田が本来もっている生産力を引き出して栽培されたおです。

健康や環境保護に敏感な人が注目

日本で有機農業が注目され始めたのは、農薬や食品添加物に由来する食品の安全に関心が高まった1970年ごろのこと。その後地球環境問題などに対する意識の高まりも加わり、さらに注目されるようになりました。

日本の水田の面積はおよそ241万ヘクタール*1ですが、そのうち有機JASの認定を受けているのは約2,900ヘクタール2と、わずか0.12%にすぎず、生産量も多いとはいえません。しかし、消費者が購入したことのある有機農産物では、一番多い野菜に続き、米が挙がっています。有機農産物を購入する動機については、安心できるという理由を挙げるだけでなく、環境に配慮した生産方法であるから、生産者(生産地)が見えるからとする人もいます。

消費者の中には生産農家から直接有機栽培米を購入する人もいますが、顔が見える生産農家と直接繋がっていることが一つの安心材料になっています。

水田の力を引き出した有機栽培

日本では、2000年から農林水産省が有機JAS規格を導入し、一定の条件を満たした有機栽培の製品には有機JASマークがつけられます。有機農産物は、遺伝子組み換え技術を利用していない品種を用いて、たい肥などで土作りをして、2年以上農薬や化学肥料を使用しなかったほ場で栽培されることが条件となっています。有機栽培米は、農薬や化学肥料に頼らず、水田が本来もっている生産力を引き出して栽培されたお米なのです。そして、この条件で作っていることを第三者が認定しないと、有機JASとは認定されません。有機栽培米はしっかりと管理がなされているのです。

アイガモ農法などで、有機栽培を実現

農薬や化学肥料に頼らずにお米を栽培することは、地域環境への負担を軽減することでもあります。しかし、雑草や害虫への対策が必要となります。

その対策のひとつとして、アイガモ農法なども行われています。アイガモ農法は、稲苗を植えたあとアイガモのひなを水田に放し、雑草や害虫を食べてもらうものです。アイガモが動くことで土が撹拌され、水田内に酸素が供給されることも有効に働くと話す生産農家もいます。また、除草対策として、水田にコイを泳がせる方法を採っている生産農家もあります。

有機栽培米と表記できる証「JASマーク」

無農薬栽培と有機栽培とは巷ではよく同じと思われていますが、無農薬栽培と有機栽培(オーガニック)は違います。そもそも有機栽培農産物というのは、農林水産省が定めた有機JAS法に基づいて生産・販売された農産物ということになります。そして、有機生産農家は農林水産省が認めた認定機関に届け出をして有機農産物の生産行程管理者の認定を得た農家であることになってきます。

有機栽培米で安心でおいしい食材作りを継続

有機栽培米のためにもっとも大切なのは、土作りです。お米の生産農家では、昔から稲わらや籾殻を堆積して発酵させ、たい肥として用いてきました。秋に収穫したあと水田にすき込む方法を採っている生産農家もあります。現代では稲わらや籾殻の中には土壌を豊かにする成分が多く含まれ、これらを原料とするたい肥の利用が土壌の通気性、透水性、養分の保持性も高めることなどにより地力を高めることがわかっていますが、生産農家の人たちは、経験として知っていたわけです。有機栽培した米の稲わらや籾殻を翌年のための肥料に用いる栽培方法は、とても安心といえます。

また日本の農家はお米のほかに野菜を育てることが多く、稲わらなどによるたい肥は畑でも使われてきました。野菜の生産においても、有機栽培した米の稲わらなどをたい肥として使うことは安心につながります。

こうした循環を考えると、お米の生産農家が多く水田の多い日本だからこそ、有機栽培米の拡大と普及は、より安心な食材の普及にもつながっていきます。

無農薬米とは

シンプルに農薬を使用せずに栽培をしたお米のことを指します。肥料については特に問われないので、有機肥料、化学肥料やその他の肥料は何を使っても、農薬を使用していなければ、無農薬栽培と呼ばれます。

ただ、注意点としては、表記については、実は「無農薬米」と表記はできません。「無農薬米」といっても昨年まで多量の農薬を使用していた場合、残留農薬の懸念があります。また隣の田畑での農薬散布が入り込む可能性もあります。「無農薬米」は優良誤解をまねくために表示できません。

そのため平成15年から有機栽培と無農薬栽培とどちらが安全かの判断がつきにくいとのことから無農薬米などの表示は農水省ガイドラインでは「特別栽培」とするように指導されています。

罰則は設けられていないので栽培方法については農家さんと消費者間の信頼関係となりますので内容をよく確認することが大切になってきます。

特別栽培米とは

特別栽培米は農業の自然循環機能を高めることを目的に、生産する県や地域によって定められた慣行レベルと比べて、節減対象農薬の使用と、化学肥料の窒素成分量を5割以下に抑えて栽培されたお米のことを言います。

慣行レベルはお米の栽培が行われる地域において使用されている節減対象農薬の使用回数、化学肥料の窒素成分量について定めた栽培基準のことで、米どころである新潟県では県全体ではなく、地域や品種によって認証基準が細かく設定されています。というのも、作物の病気や発生しやすい害虫が環境によって差があることから、県や地域それぞれが基準を設けているのです。

節減対象農薬というのは、従来の化学合成農薬の中でも有効成分を化学的に合成した農薬のことをいいます。そのため有効成分が天然由来である農薬、つまり有機JAS規格で使用が認められている農薬については除外され、使用状況の記載もする必要がありません。

こうした、栽培方法ともちっとした食感が持ち味のコシヒカリ、ミルキークイーンといったお米を好む方、また小さなころから慣れ親しんでいる地域でよく取れる品種(例えば宮城県ではササニシキなど)を大人になっても好んで食べる方、いわゆる好きな品種がある。それと合わせて上記した栽培方法(有機栽培米、無農薬米、特別栽培米には様々な産地と種類があります。)とのバランスで、定番となるお米との出会いがあると良いですね!

JAS ガイドラインについて

日本農林規格等に関する法律(JAS法)に基づくJAS制度は、食品・農林水産品やこれらの取扱い等の方法などについての規格(JAS)を国が制定するとともに、JASを満たすことを証するマーク(JASマーク)を、当該食品・農林水産品や事業者の広告などに表示できる制度です。 

JASマークを商品の購入の際の判断材料にしたり、JASを取引におけるアピールの手段にしたりなど、様々な場面でJAS・JASマークが活用されています。

農林水産省ウェブサイトから引用

特別栽培農産物に係る表示ガイドライン

その農産物が生産された地域の慣行レベル(各地域の慣行的に行われている節減対象農薬及び化学肥料の使用状況)に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下、で栽培された農産物です。

特別栽培農産物について

節減対象農薬と化学肥料双方の節減が必要です。なお、節減対象農薬を使用しなかった場合、「節減対象農薬:栽培期間中不使用」との表示になります。

農林水産省ウェブサイトより引用

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