
米麹の甘酒 ※写真はイメージです
甘酒にはまったく違う二つの飲み物が、同じ名前で売られています。米麹からつくるものと、酒粕からつくるもの。原料も、つくり方も、アルコールが入るかどうかも違います。棚の前で迷わないための、いちばん大事な見分け方からお話しします。
甘酒は、二種類ある
米麹の甘酒は、米と米麹と水だけでつくります。麹菌が出す酵素が、米のでんぷんを糖に変える。砂糖を一切入れていないのに甘いのは、このためです。そしてアルコールは発生しません。
酒粕の甘酒は、日本酒をしぼった後に残る酒粕を湯で溶いてつくります。酒粕そのものには甘みがほとんどないので、砂糖を加えて甘くします。そして酒粕は日本酒の副産物ですから、わずかにアルコールが残っています。
砂糖を入れずに甘いほうが、米麹の甘酒です。
- 米麹の甘酒
- 原材料は米・米麹・水。砂糖なし。アルコールなし。やさしい甘さで、麹の香りがあります。子どもや運転前でも飲めます。
- 酒粕の甘酒
- 原材料に酒粕と砂糖。アルコール分がわずかに残ります(多くは1%未満)。日本酒らしい香りとコクがあり、しょうがを合わせることが多い。
見分け方は単純です。原材料に「砂糖」があれば酒粕系、なければ米麹系。これだけで、ほぼ間違いません。
「飲む点滴」という言葉について
甘酒はよく「飲む点滴」と呼ばれます。ブドウ糖やアミノ酸、ビタミンB群を含む組成が点滴液に似ている、という説明です。
ただ、これは主に米麹の甘酒についての話です。酒粕の甘酒は甘みの多くが加えた砂糖によるもので、成分の構成が違います。同じ言葉でひとまとめにされていますが、中身は別物です。
そして、甘酒は甘い飲み物です。米麹のものも、でんぷんが糖に変わっている以上、糖分はしっかりあります。「体にいいから何杯でも」という飲み方をするものではありません。コップ一杯を目安に、という前提で付き合うのが現実的です。

甘さを決めているのは、麹の量
米麹の甘酒の甘さは、麹をどれだけ使うかでほぼ決まります。麹が多いほど、でんぷんを糖に変える酵素が多い。だから甘くなる。
これは味噌とまったく同じ理屈です。麹を豆の四倍使う味噌が、砂糖を入れていないのに甘いのと同じです。麹の量は、発酵食品の甘さを決める共通のものさしです。
もうひとつ、温度も効きます。酵素がよく働くのは55〜60度あたり。低すぎると糖化が進まず、高すぎると酵素が壊れて甘くなりません。手作りの甘酒が甘くならない原因は、たいていここにあります。
粒となめらか、どちらを選ぶか
米麹の甘酒には、米粒が残っているものと、すりつぶしてなめらかにしたものがあります。
- 粒が残っているもの
- 麹と米の姿がそのまま。噛む感じがあり、食べる甘酒に近い。甘みも輪郭がはっきりしています。
- なめらかなもの
- 飲みやすく、料理に混ぜやすい。牛乳や豆乳で割る、スムージーにするといった使い方に向きます。
- 玄米の甘酒
- 糠の風味が残り、色が濃くなります。香ばしさがある一方で、白米のものより主張は強め。
飲む以外の使い道
甘酒は、砂糖の代わりになります。麹由来の糖なので、砂糖よりも甘みの立ち上がりが穏やかです。
煮物に使うと、みりんと砂糖の役割を兼ねます。照りも出ますし、麹の酵素が肉や魚をやわらかくする働きもある。田楽の味噌だれ、照り焼きのたれに混ぜると、砂糖を減らせます。
ただし加熱しすぎると酵素は失活します。柔らかくする目的で使うなら、火を入れる前に肉に絡めておく。甘みだけが目的なら、いつ入れても構いません。
甘酒は、もともと夏の飲み物です
甘酒は俳句の世界では、冬ではなく夏の季語です。初詣や雛祭りの印象が強いので意外に思われますが、江戸の町では夏に甘酒売りが歩いていました。
理由は、夏バテ対策です。冷房も点滴もない時代に、食欲が落ちて体力が落ちる季節を乗り切るための飲み物だった。糖とアミノ酸とビタミンB群が一度にとれる甘酒は、たしかにその用途に合っています。
幕府が甘酒の値段に上限を定めていたという記録も残っています。庶民が夏に買えなくなっては困る、という発想です。当時それだけ生活に必要なものと見なされていた、ということでもあります。
冬は温めて、夏は冷やして。甘酒は本来、一年を通して飲まれてきたものです。冷やした甘酒に塩をひとつまみ入れると、甘さが締まって夏向きの味になります。
甘酒を買うときに見るところ
01
原材料に砂糖があるか
あれば酒粕系、なければ米麹系。ここだけで種類が分かります。
02
「米麹」か「米こうじ」か
表記は違っても同じものです。原材料が米・米麹・水の三つなら純粋な米麹甘酒。
03
アルコール分の記載
酒粕の甘酒はアルコールを含みます。運転前、妊娠中、お子さんに出すときは必ず確認を。
04
濃縮タイプかどうか
「二倍希釈」などの表示があるものは、そのまま飲むと甘すぎます。料理に使うなら濃縮タイプのほうが便利です。
05
生か、加熱済みか
「生」と書かれたものは酵素が生きています。冷蔵保存が必要です。
まとめ
砂糖が入っていないのに甘いほうが、米麹の甘酒です。アルコールもありません。原材料欄を見れば一目で分かります。
甘さを決めているのは麹の量と、糖化の温度。味噌と同じ理屈です。
そして、体にいいとされる飲み物ですが、糖分はあります。コップ一杯を毎日、くらいの距離感がちょうどいいと思います。
当店の甘酒
米麹の甘酒を中心に扱っています。
表示価格は税込です。在庫状況により品切れの場合がございます。
あわせて読みたい
ほかの記事
・米粉はなぜうまくいかないのか|粒度で選ぶ米粉の使い分け・腸活は「量」より「種類」|菌のエサという見落とし・塩麹は塩ではない|肉がやわらかくなる仕組み・旬は三つある|走り・盛り・名残の見分け方実りの手帖の記事一覧へ
この記事に関連する商品
▶ 有機・無添加の食品をオンラインストアで見る

コメント