野菜や果物を、重曹を溶かした水で洗うという方法を見聞きしたことがある方も多いと思います。この記事では、重曹を使った洗い方の基本と、海外の研究で分かっていること、重曹洗いにも限界がある点までをまとめました。

重曹で野菜を洗うとは
重曹(炭酸水素ナトリウム)は食品添加物としても認められている成分で、食用グレードのものを水に溶かし、野菜や果物を浸けてから洗う方法が、家庭でも紹介されています。重曹はアルカリ性で、油分や汚れを落ちやすくする性質があります。
基本の洗い方|分量と時間の目安
紹介されている方法としては、おおむね次のような手順です。
- 水1リットルに対して、食用重曹を小さじ2〜大さじ1程度溶かし、重曹水をつくる。
- 野菜や果物を、5〜15分ほど浸ける。
- 表面を軽くこすり洗いする。
- 流水でしっかりすすぎ、重曹が残らないようにする。
食用重曹の取り扱いについては、食用重曹の使い方の記事 もあわせてご覧ください。
重曹を使うと何が変わるのか|海外の研究から
アメリカ・マサチューセッツ大学アマースト校の研究グループが2017年に学術誌「Journal of Agricultural and Food Chemistry」に発表した実験では、農薬(殺菌剤チアベンダゾールと殺虫剤ホスメット)を付着させたりんごを、水道水・1%の重曹水・塩素系漂白剤水の3種類で洗って比較しています。この実験では、1%の重曹水に12〜15分浸けて洗った場合、水道水や漂白剤水よりも多くの農薬が除去され、チアベンダゾールは約80%、ホスメットは約96%減少したと報告されています。
ただし、この実験で除去できたのは、りんごの表面に付着していた農薬です。果実の内部にまで浸透していた分については、洗っても落とせなかったとされています。
重曹洗いの限界|知っておきたいこと
- この実験は、りんごと2種類の農薬を対象にしたものです。野菜や農薬の種類によって、結果が同じになるとは限りません。
- 日本国内で流通する農産物には、食品衛生法にもとづく残留農薬基準が設定されています。重曹での洗浄は、基準を満たすために必須の作業ではなく、気になる方が行う「ひと手間」という位置づけです。
- 長く浸けすぎると、水分や風味が抜けやすくなります。
- 繊細な葉物野菜などには、向かない場合があります。
よくある質問
Q. 重曹で洗えば、農薬は完全に落ちますか?
A. 完全に落ちるわけではありません。紹介した研究でも、表面に付着した分の除去が中心で、内部に浸透した分は洗っても落とせなかったと報告されています。
Q. どんな野菜にも使える方法ですか?
A. 繊細な葉物野菜などは、長く浸けると傷みやすい場合があります。野菜の状態を見ながら、浸ける時間を調整してください。
Q. 掃除用の重曹を使ってもよいですか?
A. 食用と掃除用は、分けて使うことをおすすめします。詳しくは「食用重曹の使い方」の記事をご覧ください。
まとめ
重曹水に野菜や果物を浸けてから洗う方法は、水1Lに重曹小さじ2〜大さじ1を目安に、5〜15分ほど浸けるのが一般的です。海外の研究では、りんごの表面に付着した一部の農薬が減少したという報告がありますが、万能ではなく、内部に浸透した分までは落とせません。日本の残留農薬基準にもとづいて流通している野菜に対して、重曹洗いは「安心のためのひと手間」として取り入れるとよさそうです。
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